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積  乱  雲

積  乱  雲

短歌 夏・十六歳

「夏・十六歳」

押し寄せる高熱の止まずとも 頭は冴えて長い夜過ごす

点滴の滴下眺める夜明け前 最近倒しに援軍が進む

忙しく走る足音今日もまた 命を守る病院の朝

夏休み計画全て成し遂げず じっとする間に秋訪れる

弟の姿はなくてもメールには アイスと笑う旅行の笑顔

弱音吐き疲れた私に喝入れる 付き添う母も不安にゆれる

繰り返し代える氷枕からからと 頭の下にせせらぎ流れる

病棟の氷を全て使っても この高熱を倒してみせる

医師たちが囲む人垣おぼろげに つらい検査を安心包む

点滴の手足四本いのち綱 動かせなくても役立つと思う

みしみしと地震の揺れは突然に 病院にいると胸なでおろす

「坊ちゃん」の四国ことばに苦労する 朗読の母は東北なまり

皮膚の中血管探す手探りで めざす一刺し芸術の域

お気に入りのブラウス一枚あれこれと 選ぶ楽しみ明日の朝には

フルートの響きとともに軽々と 楽になる息モーツァルトの朝

沖縄の太陽(てぃだ)の便りに日差し増し 輝き始める東北の空



今年の夏休みはずっと病院で過ごしました。短歌はことばのリズムがパズルのようで、初めてでしたが楽しく作ることができました。退院したら病院とは違う発見がたくさんありそうなのでまた作って見たいと思います。題材になりそうな人は覚悟しておいてください。平成17年8月27日


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